ひとひら

乙女ゲーム作品中心に雑食。男女カプ大好き。

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剣が君フルコンプ感想

剣に生きるか、君と生きるか――――

そろそろ剣が君の感想をがっつり書いていこうかなと思います。
まずは、詳細なネタバレなしの大筋やルート分岐等について。

<物語>

1633年
妖怪を滅する力を持つ伝説の刀、「天下五剣」を授かる「剣取り」こそが武士道（真の侍）と賞賛される時代。
各地では剣取り御前試合が開催され、強い者が次々と名乗りを上げていった。

幕府は、御前試合として「剣取り御前試合」を開催。
御前試合で一番になった侍には、官や称号、望むがままの褒美が与えられ、そして、「天下五剣」

鬼丸国綱(おにまるくにつな)
童子切（どうじぎり）
大典太（おおてんた）
三日月宗近（みかづきむねちか）
数珠丸（じゅずまる）

を授けられるのであった。

時は早春。
今年も江戸城で剣取り御前試合が開催される季節となり、全国から名声や富を求める若者達が江戸に集まっていた。

以上、公式サイトより抜粋。
江戸時代初期が舞台の和風伝奇物で、シリアス色強めで糖度は比較的控えめ。
綺麗なRejet。Rejet作品としては珍しく（？）健全で純愛寄りの作品です。
公式サイトから体験版を無料ダウンロードできます。

前章の「東海道偽花嫁行列」編が共通ルート、後章である「剣取り御前試合」編が個別ルートです。
前章の「東海道偽花嫁行列」編では、料理茶屋の娘である主人公の香夜が、身体の弱い姫の代わりとなり、偽の花嫁として花嫁行列を演じることになります。その護衛役として雇われた6人の侍たちと共に駿府城まで旅をすることに。
後章の「剣取り御前試合」編では、江戸城での剣取り御前試合が始まろうとしている頃、偽の花嫁行列を終えて江戸に戻ってきた香夜は、旅で絆を深めたあの侍と再会。仲を深めていく二人ですが……。

＜ルート分岐＞

攻略制限はないので好きな順でいいと思います。
ただし、螢ルートでは実彰さんの正体バレあり、鈴懸ルートでは実彰さん・螢の正体バレがあり、縁はほとんどのルートで正体匂わせる言動多めなので、正体バレ気にする方は注意！
共通ルートだけでもなんとなく正体に勘付く方もいると思いますし、あまり気にしなくてもいいような気もしますが…。特に、縁の正体は物語序盤の方から結構バレバレです。
九十九丸ルートは特に誰のネタバレもなかったと思うのでお好きな時で大丈夫ですが、できれば九十九丸で締めると良いかなと思います。左京さんの和魂EDで締めるのもオススメ。

後章である個別ルートは、各ルート途中から剣ルートか君ルートに分岐し、さらに、剣ルート君ルートでそれぞれ2種類のEDに分岐。
剣ルートのEDが奇魂EDと荒魂ED、君ルートが和魂EDと幸魂EDです。
個別ルートに入ってからの4つずつある選択肢がそれぞれ奇魂・荒魂・和魂・幸魂に対応しているので、攻略は結構わかりやすいです。

なので、ゲームオーバー的なBADエンドや好感度不足によるノーマルED等はありません。
ただ、人によって結構捉え方が変わってくるEDが多いと思います。
公式でも「剣が君の結末にはグッドエンドやバッドエンドという概念はない。それを幸せと取るか悲しみと取るかは貴女次第」 と言われているので、本当にその通りだなと思いました。

人によって捉え方や感じ方が変わってくるとはいえ、この作品は鬱EDっぽいのから回収して大団円なEDで締めるのが良いのではないかなと思います。
あくまでも個人的にそう感じた順（BADエンド寄り＜GOODエンド寄りの順）は下記の通りなので参考にどうぞ。

●九十九丸・・・奇魂ED≦和魂ED＜荒魂ED＜＜幸魂ED

●螢・・・荒魂ED＜＜和魂ED＜奇魂ED＝幸魂ED

●黒羽実彰・・・奇魂ED＜荒魂ED＜幸魂ED＜和魂ED

●縁・・・荒魂ED＜奇魂ED＜＜和魂ED≦幸魂ED

●鷺原左京・・・荒魂ED≦奇魂ED＜＜幸魂ED＝和魂ED

●鈴懸・・・奇魂ED＜＜荒魂ED＜和魂ED＜幸魂ED

ただ、この順番だと剣ルートと君ルートが交互になってしまってややこしいキャラもいるので、基本的には剣ルート（奇魂ED・荒魂ED）→君ルート（和魂ED・幸魂ED）の順が良いかもしれません。
九十九丸ルートは、大団円な幸魂ED、もしくはタイトル回収があってトゥルーEDっぽい感じの荒魂EDで締めるのが良いと思います。

あと、システム面で一点注意なのが、選択肢スキップである「跳躍」は、未読部分も問答無用で飛ばしてしまうので使わない方がいいです。
跳躍中にスチル回収部分通り過ぎてしまったらスチル回収できないですし。
スキップしたい時は「早送り」（既読スキップ）で！

それでは、以下、各ルート感想。公式の表記順です。ネタバレ注意！！

九十九丸（つづらまる）

剣が君のメインヒーロー！ちょっと幼く見えますが二十歳です！
居合の伝書を受け継ぐために修行の旅をしている侍。
伝書鳩であるカラスバトのハヤトを連れています。
穏やかでおおらかで謙虚で、気遣いが素晴らしいとても優しい癒し系。
そして赤面率の高い照れ屋さんで食いしん坊可愛い。食べることだけじゃなくて料理作るのも得意。

プレイ前は、まさかこんなに好きになるとは思っていませんでした。
キャラ単体でも、香夜ちゃんとのカプ的な意味でもシナリオもダントツで好きになりました！
そして、私の中でベストオブ旦那キャラになりました。良い旦那過ぎます本当に…。

もう何度も言っている気もしますが、前章のういろう餅イベントの一連の場面でやられました…。
香夜ちゃんが里心ついて泣いている時に、香夜ちゃんを気遣ってういろう餅を持ってきて一緒に食べてくれたり、父への手紙を伝書鳩のハヤトに届けさせてくれたり。
心が弱ってる時にこんなにいろいろと気遣ってくれて優しくしてくれて、落ちないわけないでしょう…！

しかもこれ、選択肢関係なく強制的に発生するイベントですからね…！
さすがメインヒーローです。これはずるい。
このシーンのスチル、父への手紙を書いている香夜ちゃんを見ている九十九丸の図なんですが、香夜ちゃんを見つめる九十九丸の表情が本当に穏やかで優しげで素敵です…。ハヤトも可愛い。
夜着でバッタリで二人が赤面してるのも可愛かった…！
照れて動揺しつつも、香夜ちゃんが泣いていたことに気付いて気遣う九十九丸の鋭い洞察力と優しさも良かったです。

後章では、前章で本陣の高価な壺を割ってしまったため護衛の報奨金を全額没収されてしまった九十九丸が、香夜ちゃん家の料理茶屋で使用人として住み込みで働くことになります。
これもいろいろと美味し過ぎますね…！
九十九丸は使用人となったので、香夜ちゃんのことを「お嬢さん」と呼ぶことになります。
誰に強制させられたわけでもなく、自分なりのけじめとして。
香夜ちゃんの家に使用人として働くことになるのは九十九丸だけなので、「お嬢さん」呼びは九十九丸だけの特権です。美味し過ぎる！

そして九十九丸は住み込みで働くので、個別ルート序盤の方からもう家族同然な感じで、九十九丸もう婿入りしてるんじゃないのって雰囲気です。
九十九丸は香夜ちゃんと香夜ちゃんの父親だけでなく、その周囲の人たちともすぐに打ち解けてしまって、外堀埋まるの早い！

といっても香夜ちゃんと九十九丸の恋愛過程は唐突感はなく、とても丁寧に感じました。
前章から続いているというのもありますし、少しずつお互いに惹かれていく様子がよくわかりました。
元々相性良さそうな二人ですしね。二人一緒に赤面する場面多くて最高に可愛い！
贔屓目抜きにしても一番お似合いだと個人的には思ってます。

あと、九十九丸の親友で同じ師匠の元で修行してきた田一が、香夜ちゃんの親友で同じ薙刀道場に通っているお松ちゃんの家に奉公していて、この四人が会話してる場面も好きです。
奉公先のお嬢さんたちが親友同士で、使用人二人も親友同士っていいですね！
九十九丸＆香夜ちゃんと田一＆お松ちゃんのWデートとか見たかった…！
会話場面がちょっとWデートっぽかったかもだけど、ちゃんと2組で遊びに行くの見たかったです。

途中までは特に大きな問題もなく順調な感じなんですが、御前試合の第三試合で、九十九丸本人も知らなかった秘密が明らかになります。
前章でも結構伏線張ってあったので何かあるんだろうなとは思ってましたが、具体的に何なのかまではここで明かされるまで全然わかりませんでした…。勘の良い人はある程度想像つくかもしれません。

白過ぎる肌、冷たい身体、線香の香り、お腹の傷跡、二十歳なのに15歳くらいの外見、15歳以前の記憶がないこと、等々全部伏線でした…。
ゲームに同封されてる解説書等で九十九丸の側に描かれている彼岸花も伏線ですね…。

九十九丸は、5年前の15歳の時に一度死んでしまっていました。
それを、当時天下五剣の一つである鬼丸国綱の持ち主であった九十九丸の実の父親が、鬼丸国綱を使って反魂呪を行い、自らの命を捧げて九十九丸を生き返らせたのでした。
反魂呪によって蘇った者は、半分は自分の身体ですがもう半分は常夜の神であるマレビト。
月の光を定期的に浴びて体内を浄化しないと、いずれはマレビトに支配されてしまう…。

九十九丸は既に結構危険な状態で、このままでは近いうちにマレビトに支配されてしまうくらいの状態でした…。
それを知った九十九丸と香夜ちゃんはこれからどうするのか。どうやって乗り越えていくのか。
それが中盤以降のお話になります。

剣ルートでは、あの後、反魂呪によって蘇った者は霊場巡りをして体にお経を刻み込んでいけばマレビトの力を抑えることができると聞きます。
御前試合には出場し続け、御前試合が終わったら霊場巡りの旅に出ようと決意しますが…。
君ルートでは、あの後御前試合を辞退し、香夜ちゃんと二人で九十九丸の故郷である遠野の師匠の元へ向かい、詳しい話を聞きに行くことに。

九十九丸の場合、設定が特殊過ぎることもあって、4つあるEDのうち大団円的なEDは1つしかありません。他のキャラは2～3個くらい幸せで平穏なEDあるんですけどね…！
でも、九十九丸ルートは大団円が1つしかない所も含めて好きです。
では他3つは全て鬱EDかというとそういうわけでもなく、大団円な幸魂ED以外は人によってだいぶ捉え方が変わってくる結末だと思いました。

最初に奇魂EDと和魂ED見た時は、この結末が好きとか嫌だとかの前に、衝撃を受け過ぎて複雑な心境でした…。左京さんの剣ルートを先にやっていたらもう少し衝撃は緩和されていたかもですが。
フルコンプして改めて振り返ってみると、奇魂EDも和魂EDも、これはこれで好きだなという結論に至りました。ちょっと怖いけど。

和魂EDは、傍から見たらBADかもしれないけど、二人が一緒にいられて幸せならばそれでいいのかもと思いました。スチルも凄く美しくて……でもちょっと怖くて…。あの神社の御利益も関係しているのかな…とか。
奇魂EDに関しては、私はこの時点でも充分BADだと思うし、その後が描かれたら完全にBAD行きだろうって感じですが好きです。怖いけどその後が気になり過ぎる…！
和魂EDと奇魂EDに関しては、というか九十九丸に関してまだまだ語り足りないので、また後日改めてまとめたいなと思います。

九十九丸ルートで私が一番好きなEDは荒魂EDです。この作品の中で一番好きなEDでもあります。
一時的になんとかなったけれど状況は変わらないので、今後もずっと香夜ちゃんの側にいるために、必ず無事に戻ってくると約束してマレビトの力を抑える霊場巡りの旅に出るED。
その後の物語も結構長く描けるんじゃないかなあ。凄く気になります…！見たい！！

大団円な幸魂EDも好きなんですが、もう一山くらい欲しかったり、最後の方が若干ご都合主義的に感じたりもしたので、総合的には荒魂EDのが好きですね。一番好きなスチルも九十九丸荒魂EDのです。
ご都合主義過ぎることもなく、かといって鬱EDでもなく、愛しさと切なさと希望が入り混じったあの感じがたまりません…！
告白シーンも、愛しさと切なさが入り混じった剣ルートの方が好きです。

そして、荒魂EDで九十九丸が香夜ちゃんに明日旅立つと告げた時の、香夜ちゃんを泣かせる方法がまた優しいんですよね、九十九丸。こんな優しい泣かせ方初めて見ました…。
涙をこらえて笑顔で見送ろうとする香夜ちゃんに対し、「泣いていいのに。でないと、俺が寂しいじゃないか。」と本当に寂しそうな笑顔で言ったり、「俺だって、お嬢さんと別れるのは寂しいんだ。だから……お嬢さんも、言ってくれていい。」と優しく諭したりして、それで本当に泣いてしまい「泣かないって……決めたのに……。」と言う香夜ちゃんに対して「お嬢さんが泣いたんじゃない。俺が泣かせたんだ。だから泣いたうちには入らない。」と、これまた優しく言うんですよ…！
普通は「泣かないでくれ」的なことを言っちゃいそうな場面なのに…！包容力も優しさも半端ないです九十九丸…！！

そしてそして、九十九丸の荒魂EDでは、「剣が君」という作品タイトルの言葉が出てきます！

「お嬢さんの名を俺の刀に貰ってもいいか？……俺を守ってくれる剣がキミなら」

「剣が君」ってそういう意味か…！！と感動しました…！切なさと愛しさと熱さが押し寄せてきて…！！
他の攻略キャラの刀には最初から名前が付いてるんですが、九十九丸の刀だけ無銘刀な設定がここで生きてくるわけです。

感想読み漁っていてなるほど思ったんですが、主人公香夜ちゃんの名前「香夜」は、「香」も「夜」も、どちらも九十九丸に関する言葉なんですよね。
反魂呪によって蘇った九十九丸から漂う「線香の香り」。そして「常夜」。
おそらく制作側もその辺り意識して、意図的に名付けたんじゃないかなあと。
九十九丸は作中で天下五剣を授かることはありませんでしたが、主人公香夜ちゃんの名前を貰った刀を手に入れることができるので、やっぱりメインヒーローなんだなと思いました。

どの作品でも思いますが、タイトル回収の場面とても良いですね…！
タイトルの意味そういうことだったのか！と毎回感動します。

九十九丸が旅立った後、ハヤトを介して二人が文通してるのも良いですね。ハヤト凄く優秀で可愛い。
何気に結構活躍してます。優秀な伝書鳩！
九十九丸ルート攻略後に、ぜひ改めて歌詞を意識しながらOP曲とED曲を聴いてみてほしいなと思います。
剣ルートのED曲「雪解けたら」の歌詞は九十九丸荒魂EDピンポイントだし、OP曲の歌詞にある「剣と君を重ね」も同じくそうですし…！

タイトル回収ありますし、剣ルートのED曲が九十九丸の荒魂EDピンポイントな歌詞ですし、この作品にトゥルーEDというものが存在するとしたら、九十九丸ルートの荒魂EDなんじゃないかなと思いました。

そして大団円な幸魂ED！
これを見るために今まで頑張ってきたんだ…！！と思いました！
二人で試練を乗り越え、九十九丸がマレビトの混ざっていない完全な人間の身体に、ちゃんと脈を打っていて温かい、本来の二十歳姿の身体に戻れた時の感動が半端ないです…！！
良かったね九十九丸…！！

本来の九十九丸二十歳の姿は、15歳の時から成長の止まっていた姿からだいぶ成長しているのですが中身は九十九丸のままなので、表情もちゃんと九十九丸なんですよね。
マレビトin大人丸の時は冷酷な表情ばかりだったので、本来の九十九丸にこの姿合うのかなあと心配してたんですが、ちゃんと「ああ、私の知っている九十九丸だ…！」という表情と喋り方だったので安心しました。香夜ちゃんの気持ちと完全にシンクロして感情移入してました。

今までの言動も、「九十九丸の本来の姿はこっち（大人丸）なんだよなあ」と思いながら最初から振り返ってみると、新たな萌えがきます…！！(笑)
九十九丸のキャラ的には15歳姿の方が合っているような気はしますが、二十歳姿であのキャラというのも可愛過ぎて…！
「九十九丸は目の前をはらはらと舞う花びらを忙しなく追いかけている」の場面とかね！ワンコか！(笑)
どっちの姿でも可愛いです。九十九丸可愛過ぎる…。

そしてその後二人は結婚して、料理茶屋の若旦那と女将として幸せに暮らしていくという、幸せいっぱいな大団円ED。本当に本当に良かった…！！末永くお幸せに…！！

なんかもう、お似合い過ぎるし可愛いし切ないし愛おし過ぎるしで大っ好きです！！
ここまで愛おしいと思ったカプは初めてです。今までハマったカプの中で一番愛おしい…。
お互いに対する口調や呼び方も少しずつ変化していくので、仲を深めていく過程がより一層丁寧に思えました。最終的にはお互いにくだけた口調になって名前呼び捨てになるの良いですね！
君ルートの最初の方で九十九丸に「香夜」と呼び捨てで呼ばれたら、思わず赤面してしまった香夜ちゃん凄く可愛い。何故デフォルト名呼び機能がないのか…！と一番強く思った場面です。
この二人は、何年経ってもちょっとしたことでお互いに赤面し合っていそうで本当に可愛い…！

九十九丸ルートだけは、完全な離別（死別）EDがないんですよね。
九十九丸が旅立つEDはありますが、ちゃんとお互いに想いを伝え合って、絶対に香夜ちゃんの元へ帰ってくると約束して旅立つので。
九十九丸と香夜ちゃんは、お互いに惹かれ合ってしまったら完全には離れることができないのかと思うとますます萌えます。
それから、九十九丸ルート以外のルートでの九十九丸の今後のことを考えるとね……うわあああってなりますね…。事情が特殊過ぎて…！
香夜ちゃんがいないと乗り越えられる気がしません…。

当初の目的や願いを作中で達成できなかったのも九十九丸だけだったと思いますが（九十九丸の当初の目的は、御前試合で優勝して居合の伝書を受け継ぐこと）、剣ルートでは日の本一の侍になることも諦めてはいない感じだったので、旅から戻ってきたら達成しそうです。……荒魂ED後は大団円になりそうだけど、奇魂ED後だと不穏な感じしかしない…でもそれはそれで見てみたい。

螢（けい）

御用聞きとして江戸の治安を守っています。二刀流の侍。19歳。
螢は、自ルートの中盤以降と左京さんルート以外ではかなりツンケンで、常にイライラしていた印象が強いです。
でも、口は悪いけれど言っていることは正論だし、なんやかんやで面倒見の良い真面目なしっかり者。
たぶん攻略キャラの中で一番の常識人。いつもツッコミお疲れ様です。特にドラマCD。
螢は、螢ルートでしか見せない満面の笑みが凄く可愛いです！

螢ルート中盤以降や左京さんルート・縁ルートやドラマCD等の螢は好きですが、それ以外の螢は未だにちょっとだけ苦手気味かもです。
いろいろと事情があるし根は良い人なのはわかるんですが、無駄にツンツンイライラし過ぎだったんじゃないかなあと思ってしまいまして。ちゃんとカルシウム取って…！(笑)

個別ルートに入ると、再会して挨拶するところまではいいんですが、その後偶然通りかかった時に喧嘩して以降、しばらくは香夜ちゃんと螢の仲は険悪な感じでハラハラしました…。和解したかと思えばまた険悪になったりで。
個人的に、ツンデレケンカップルは側から見るとわかりやすくて微笑ましい雰囲気なのが凄く好きなんですが、ここまであからさまに険悪だと…本当にハラハラしました…。
でも、香夜ちゃんがこんな風に誰かと喧嘩するの新鮮で興味深かったです。

螢は個別ルート中盤辺りで完全に和解してからが本番ですね！
結構印象変わってくると思います。私も螢の株だいぶ上がりました…！

螢の正体は鬼族です。鬼族はかつて人間と争って敗れたため、人と鬼族は相容れないものとされ、鬼族は基本的にひっそりと暮らしています。
螢自身も幼い頃に人間たちに村を襲われて両親を殺されていました…。
螢がツンツンイライラしていてあまり馴れ合おうとしなかったのも、この辺の事情も関係あったのではないかなと思います。

でも、ある程度親しくなった人や困っている人には優しくて友好的だし、東海道の仲間たちのことももう少し信用したり親しくしたりしても良かったんじゃないかなあとも思います。
鬼族の斬鉄に恨みのある左京さんは螢にとってはちょっと…いやかなり危険だけどね…！
螢が鬼族だというのは、豆が苦手なところとか角を隠すように巻いているバンダナ等で、勘のいい人は結構早い段階で気付くかもしれません。

ある出来事がきっかけで香夜ちゃんに鬼族だということがバレてしまうわけですが、それによって過去の出来事や螢がこれからしようとしていることを香夜ちゃんに打ち明けて、二人の仲はより深まっていきます。

その後、剣ルートでは、螢の当初の目的であった、御前試合で優勝して刀狩令（この作品中での刀狩令とは、鬼族の帯刀禁止令のこと）を廃止してもらうことを達成します。
もう二度と鬼族が人間に排除されたりしない世の中にして、人間と鬼族が対等に暮らせるようにするために。
ちなみに、螢はここで天下五剣の一つである童子切を授かります。

君ルートでは、螢の祖父が江戸にやって来て、「そんな風に一人で躍起になっても、みんなの心がついていかない」と説得されて御前試合を途中で辞退。
まずは鬼族と人間がわかり合えるということを示すためにも、香夜と結婚して幸せにならなければという恋愛重視のお話になります。

剣ルートは少年漫画のような熱い展開でとても良かったし、君ルートは少女漫画っぽい恋愛推しな展開でこちらも凄く良かったです。

螢ルートは剣ルート奇魂EDが一番好きです。奇魂EDの後日談でみんなが二人をくっつけるために協力してくれるのも良かった！！こういうのずるいですね…！
……ちなみに荒魂EDは、優勝した後に螢が助けた鬼族に殺されてしまいます…。理不尽…。でも当初の目的自体は達成しているので、BADとも言い切れないところがまた憎いというか複雑というか…！

君ルートは、螢が告白して香夜ちゃんと両想いになり、香夜ちゃんのお父さんに、娘さんをください的な挨拶をして了承してもらった後、隠し事はしたくないということで自分は鬼族だと打ち明けます。
その途端に香夜ちゃんのお父さんは急に態度を変え、「娘が鬼族と結婚なんて冗談じゃない！！」と猛反対。

その後なんとかして認めてもらおうと奮闘し、最終的に認めてもらって螢の故郷で結婚EDが幸魂ED、認めてもらえず二人で螢の故郷へ駆け落ちEDが和魂ED。
幸魂EDの山吹スチルと結婚式スチルが凄く綺麗で特に好きです。
和魂EDでも、螢に会えなくて辛そうな香夜ちゃんを見かねたお父さんが、二人の手紙のやり取りをこっそり仲介してくれていたので、完全に反対だったというわけでもなさそうな感じでした。
その後が描かれればちゃんと大団円になりそうな予感。

あと、螢は香夜ちゃん以外の女の子ともフラグ立て過ぎですね…！(笑) まるでギャルゲーの主人公のようだなとか思ってました。
螢にお世話になってて結構親しげなお里さんは螢のこと本気で好きだったみたいだし、幼なじみで同じ鬼族の呉葉ちゃんも可愛いし良い子だし螢は子供の頃呉葉ちゃんを嫁にするって言ってたらしい（おじいちゃん談）し…！設定的にも見た目的にもお似合いだなーとか思ってしまいました。
呉葉ちゃんには現在ちゃんと恋人がいるし、螢は香夜ちゃんに一途だったので良かったですけどね。
香夜ちゃんに対する接し方と、お里さん・呉葉ちゃんに対する接し方にはかなり違いが見られたので、やっぱり香夜ちゃん以外の女の子との恋愛は想像しにくいですね。……でもやっぱり見てみたい気も…！(笑)

黒羽実彰（くろばさねあき）

偽の花嫁行列の護衛採用試験で最も優秀、剣の腕前は6人の中でも最強クラス！
25歳。攻略キャラの中で最年長です。江戸の山奥で暮らしている隠れ切支丹。
穏やかで物静かで、基本的にあまり他人と深く関わろうとしませんが、優しくて面倒見の良い人。
真面目で常識人と思いきや、少し天然ボケなところもあります。
切支丹なので、一人で「我、深きあやまんなり」と祈っていた印象が強いです。

実彰さんの刀「孫六兼元」に憑いている刀の妖怪、ハバキ憑きちゃんがとても可愛いです。
実彰さん的にはうるさくて鬱陶しいという感じだと思いますが可愛い。
私はハバキちゃんのツッコミに同意すること多かったです。そして九十九丸の活躍も良かった！
いつも穏やかでおおらかなのに、他の誰かのために真剣に怒ってくれる九十九丸が好きです。

実彰さんは、過去に「知られてはいけない秘術を知ってしまった忍を殺してほしい」という依頼を受け、その忍を殺そうと刀を振るったところ、その忍の恋人である娘が忍を庇い、実彰さんはそのまま誤って罪のない娘を殺してしまいました。

「罪のない人を殺してしまった」
それがきっかけとなり、今まで自分がしてきたことを改めて振り返ります。
今までも、生きるために仕事としてたくさんの人を殺してきた。その中に、果たして罪のない人はいなかったと本当に言い切れるだろうか。本当は罪を犯していない人もいたのではないか？
いろいろ考えた結果、実彰さんは、もう剣を捨てて山奥でひっそりと暮らそうと決めたのでした。

そんな実彰さんが、完全に山奥に隠居する前の一番最後の仕事として選んだのが偽の花嫁行列の護衛だったわけですが、なんであえて刀を振るう必要のある仕事にしたんだろう。
実彰さんはその後も、言ってることとやってることの矛盾が多くて私はツッコミまくりました(笑) 他ルートだといつまで経っても東北へ隠居する気配なかったりするし。
実彰さん自身も、自分のことを「矛盾に満ちた」とか「調子のいい男」とか言ってるので、自覚はあるようです。

実彰さんが「わたしはもう二度と～しない」とか否定系の決意を口にしたら、その直後に破られるフラグです！(笑)
サントラのドラマパートでも、風邪をひいてしまった香夜ちゃんを看病している時、つい眠くなってしまって「駄目だ、寝てはいけない…。」と言った直後に寝ちゃってますしね！実彰さん面白過ぎる。

実彰さんが誤って殺してしてしまった罪のない娘が、実は香夜ちゃんの親友であるお松ちゃんのお姉さんであると発覚し、お松ちゃんが実彰さんに仇討しようとしてきて、でも結局できなくて一度引き下がった後から剣ルート・君ルートに分岐します。

私は、実彰さんは剣ルートの方が好きです。
君ルートの幸魂EDだと、平穏で幸せな感じではあるのですが、ちゃんと剣と向き合わずに、嫌なことから逃避してるだけなんじゃないかと思ってしまって。
確かに罪のない人を殺してしまったのも事実ですが、その剣で救われた人がいるということもまた事実なので、罪を反省して、誰かを救うために剣を振るい続けてほしいなあと個人的には思いました。

実彰さんは、御前試合で三度優勝して天下五剣の一つである大典太を手にした、「剣聖大典太」。
しかし実彰さんはもう剣を振るいたくないため、大典太を手放したいと思っている。
大典太が自分ではない別の強い侍を選ぶよう御前試合に参加するくらい。

そんな実彰さんが、仇討をしようとしてきたお松ちゃんの「……黒羽さん、生きて罪を償ってください。あなたが天下五剣を授かった剣聖であるというのなら……。その力を、どうか役立ててください。この国を守るために。」という言葉、そして香夜ちゃんの「あなたの剣は、人殺しの道具なんかじゃない。……私が保証します。」という言葉で改めて自分と、そして大典太と真剣に向き合い、幕府のため、この国を守るために剣を振るおうと決める剣ルートが好きです。

最終的に幕府に仕え、みんなのため、香夜ちゃんを守るためにこれからも剣を振るっていく荒魂EDも好きですが、真に大典太に認められて神下ろしの力を発揮し、この世を守り抜いた奇魂EDが一番好きです。
代償として実彰さん自身は常世に呑み込まれて、現世からはいなくなってしまいましたが…。
それでも、実彰さんが剣から逃げずにちゃんと向き合って使命を全うした、一番かっこいいEDだと思います。

それに、これだと実彰さんは常世に「呑み込まれた」だけであって、死んでしまったわけではないと思うんです。香夜ちゃんも、実彰さんは生きていると信じていますし。
なので、この奇魂EDのその後が描かれれば、実彰さんが常世から戻ってきて大団円になる可能性も充分あると思います。そういう期待も込めて、私は奇魂EDが一番好きです。

ちなみに和魂EDは、結末自体は凄く好きなんですが、実彰さんの職業に関しては、どうなの…！(笑)
九十九丸が凄く似合い過ぎている分、実彰さんはなんか違うような気が…！料理の腕前は問題ないとしても、展開がちょっと唐突過ぎてびっくりしました。
もっと実彰さんにピッタリの職業あったんじゃないかなあと。植物関連の仕事とか剣の道場の先生とか似合いそう。

縁（えにし）

乙女ゲーには欠かせない（？）女好きな軟派系。23歳。
でも、一見女好きで軟派系な遊び人っぽく思えますが、実はかなり一途で真面目な人。
SKiT限定版のドラマCDでも左京さんに「縁殿は、女人であれば誰でもいいのではありませんか？」とか言われたりしてますがちゃんと一途です。
一途過ぎてちょっとストーカーっぽく思えたりもしますが害はないですたぶん。
江戸幕府の公儀隠密なのですが、それだけではない彼の正体。
過去回想スチルや描き下ろし等で、ちゃんと髪の毛まとめててうなじが見えてる縁は真面目でかっこよく見えてずるい。

縁の正体は、制作側あんまり隠す気ないよね！公式サイトに刀の名前書かれていたり、他ルートで江戸幕府の偉い人っぽい感じの言動多めだったりで。

そうです、縁の正体は若様。次期将軍です！
正確に言うと、家光様が養子にしたのが縁です。
「縁」という名は幼少の時の名前で、本名は「松平信春」。松平辰影さんの実の弟です。
養子にしたのは縁だけでなく辰影さんもなんですが、辰影さんは病弱ということもあって、次期将軍は縁ということになっています。

そして、縁はもう一つ秘密が。
公式サイトの人物紹介の縁の所に、「【刀】三日月宗近」ってはっきり書かれてるんですよね…！
天下五剣の一つである「三日月宗近」です。
つまり、縁はかつて御前試合で優勝して一番刀となり、三日月宗近を授かったということ。

……しかし、そこにちょっと問題がありまして、実はその御前試合は縁が優勝するように仕組まれていたのでした。そのことを試合の後に知った縁。
それまでは、今の縁とはだいぶ雰囲気の違う、真面目でしっかりした感じだったのですが、そのことをきっかけに今のような雰囲気になったようです。

それでも、今でも根は真面目なので、優勝したのが仕組まれたものだと知っていても、なんとかして三日月宗近に認めてもらい、神下ろしの力を発揮してお役目を果たしたいと日々努力していました。

縁と香夜ちゃんの恋愛に関しては、人によってだいぶ感じ方が違うかもしれません。
というか縁というキャラクター自体、結構好き嫌い分かれるタイプなんじゃないかなと思いました。
以下、やや辛口になっているので注意…！

花嫁行列の後、江戸に戻ってきて再会してから、縁はかなり積極的に香夜ちゃんとの仲を深めようと口説いてきます。
やはりちょっと遊び人風な感じというか軽い感じに受け止められるので、最初は冗談だろうと受け流しつつも、縁のことが気になっていく香夜ちゃん。

だんだん仲が深まっていくと、縁が「ねぇ、俺と付き合ってみない？」と言い出します。
「好き」という言葉は使わず、香夜ちゃんへの想いをつらつらと語り出します。
まあでも乙女ゲーだとはっきりとそういう言葉を使わない告白もあるしなあ、とその時はスルーしてたんですが、告白の返事を真剣に考えてお松ちゃんに相談する時に、「す、好きとは言われてないよ…！」と言うんですよ！香夜ちゃんにしっかり伝わってないじゃないか縁ー！！
香夜ちゃん照れてただけなのかもしれないけど、やっぱり告白するならはっきりと「好き」って言わないと…！

香夜ちゃんが返事を迷っている理由はもう一つありました。それは、縁の素性がわからないということ。
岡っ引きのようなことをしている、という嘘（仕事内容的にはそんなに間違ってないかもですが）を言ったきり、本当のことは隠したまま。そりゃあ信用してもらえませんよね。
何故ちゃんと正体明かさないまま告白したのか…。

その後、とあることがきっかけとなって、香夜ちゃんに素性を明かします。
縁が次期将軍であると知った香夜ちゃんは、「そんなご身分の方が、商人である私とそんな関係になってはいけない」と、縁のことを思って縁を突き放します。
それからは、「身分なんて関係ないだろ…！？」と必死に口説いてくる縁と、縁のことが気になるけれど縁のために必死に突き放す香夜ちゃんの攻防が始まります。可愛い。

というわけで、縁ルートは、縁で香夜ちゃんを攻略しているような感覚でした。
縁と香夜ちゃんのやり取りは、自由奔放で駄々っ子な子供を叱咤するお母さんという感じで面白かったです。
しっかり者なお母さんっぽい香夜ちゃんを堪能することができたのは良かったんですが、個人的には縁が駄々っ子でストーカーっぽく思えてしまって引っ叩きたくなりましたね…！(笑)
制作側が意図して縁の駄目な大人っぷりを描いている感じなので、この辺は完全に各々の好みの問題かなと思います。
個人的には、引っ叩きたくなることが多かったけれど、なんやかんやで嫌いになれないというか放っておけないというか…。根は真面目で良い人ですし憎めないキャラです。

縁も剣ルートの方が断然好きです。
実彰さんルートと同じく、乙女ゲー的には君ルートの方が正解なのかもしれませんが、やはり実彰さんルートと同じく、君ルートだとお役目から逃避している感が強過ぎて個人的にはもやっとしました。
特に縁の場合は自分の使命や立ち場から逃げちゃ駄目だろう…！！と私は思いました。

縁が三日月宗近に真に認められて、お役目を全うして死んでしまう荒魂EDが一番好きです。
死なないけれど、家光様の養子になった以降の記憶を失ってしまう奇魂EDも切ないけど好き。

実彰さんも縁も、天下五剣に認められて使命を果たす場面が凄く熱くてカッコイイです！！
しかし二人共、それだとこの世からいなくなってしまうEDに繋がってしまうのがまた憎い…！
実彰さんの場合は常世に呑み込まれるEDなので死んではいないと思うんですが、縁の場合は深手を負って死んでしまうんですよね…。それでも縁ルートは荒魂EDが一番好き…。

鷺原左京（さぎはらさきょう）

山城国伏見藩の元徳川家直参旗本、鷺原家の嫡子。18歳。
一見穏やかで優しげですが、実はある人物への復讐に全てを捧げているかなり怖い人、と思いきや根は本当に優しくて面倒見の良い人。お母さんっぽい感じです。ちなみに左利き。
結構世渡り上手なお方。女性っぽい外見なのを利用していることもあるとか。
でも、意図せず女性と間違われるのはお嫌いな様子。
本当に美しい人で、美し過ぎて本当に女性っぽく見えるイラストも多数あります。

実は私、左京さんルートをやるまでは左京さんのこと結構苦手でした。
共通部分では、一見穏やかで優しいけれど本当は超怖いという印象が強過ぎて。
穏やかで優しい時も、実は心の内は真っ黒なんじゃないかとヒヤヒヤしてました。
香夜ちゃんのことも、本当は「この小娘が…！」とか思ってるんじゃないかと深読みし過ぎてましたが、実際はそんなことないというのが個別ルート入ってわかって左京さんの株急上昇。

左京さんルートは、やはり復讐メインのお話です。
4つあるED全てで復讐を果たすことができるので、どのEDでも本懐を遂げることができます。
辿る道は剣ルートと君ルートでだいぶ変わってきますが…。

左京さんは、12歳の時に鬼族である斬鉄に両親と姉を殺されてしまい、斬鉄に復讐するため、仇討赦免状を手に江戸へやってきました。
前章の偽花嫁行列の護衛に参加したのも、斬鉄の仲間であるシグラギを誘き出すため。

香夜ちゃん含め皆の前では基本的にいつも穏やかで礼儀正しい感じですが、プレイヤーには左京さんの裏の顔（？）を最初から包み隠さず見せられるので、しばらくは自分の心情と香夜ちゃんの心情とのギャップが激しいかもしれません。
個別ルートに入って左京さんは根は優しくて良い人というのをきちんと実感するまでは、「騙されちゃ駄目だよ香夜ちゃん…！その人超怖い人だよ！」と思ってました(笑)

個別ルートでは、鬼に殺されかけて傷を負ってしまった左京さんを、香夜ちゃんが自分の部屋にこっそり匿うという、まさかの一つ屋根の下展開！左京さん途中で出て行ってしまいますが美味し過ぎる…！
しかも裸でドッキリ展開も！ラッキースケベ枠は左京さんだったか…。あと螢ルートの実彰さんも。
でも色っぽい展開にはならなくて、むしろいろいろ心配されて説教されました…左京さんマジお母さん。
中盤まではそんなこんなでほのぼの平和過ぎてちょっと予想外だったんですが、中盤以降から一気に話が動き出します。

ある日、左京さんが香夜ちゃんの家から黙って出て行ってしまいます。
斬鉄の仲間たちが自分を探して香夜ちゃんの家付近をうろついていると知ったから。
そして、御前試合に出て、斬鉄と当たった時に仇討赦免状を掲げ、公衆の面前で仇討をするため。
御前試合で見事に斬鉄と当たって仇討しようとするのですが、左京さんは斬鉄に敗れてしまいます…。
神聖な御前試合で仇討するとは何事か！と怪我をしているにも関わらず、試合後に牢に入れられてしまう左京さん。この直後の香夜ちゃん＆鈴懸の発言が面白くて可愛くて天使なので必見です！

見張り「うるさい。逆らうのならお前たちも牢屋にぶち込むぞ！」
鈴懸「……そっか。その手があったんだ。牢屋に入れてよ。そしたら、左京さんを診てあげられる。」
香夜「はい。私も、お願いします！牢屋に入れてください！」

その発想はなかった！(笑)

その後、縁がいろいろ取り計らってくれて、なんとか釈放された左京さん。
この後から剣ルートと君ルートに分岐します。

剣ルートでは、斬鉄への復讐心がより激しくなり、妖刀村正に憑りつかれてしまい、斬鉄を殺します。
そしてその後も妖刀村正の力がどんどん高まり、幻聴や幻覚まで見えるようになって自制もきかなくなってきて、罪のない人々も無差別に殺してしまうようになっていきます…。
それを止めようと奮闘する香夜ちゃん達。

君ルートでは、御前試合で斬鉄に負けたことで意気消沈した左京さんを元気づけようと、一緒に過ごす香夜ちゃん。
でも、仇討を無理やり諦めようとする左京さんを見た香夜ちゃんは、左京さんを後押しします。
これまでは、復讐心で一杯で仇討することしか考えていなかった左京さんが、これからを生きるために仇討する、という前向きな気持ちになり、皆の協力も得て、見事仇討を果たします。

左京さんルートは、剣ルートと君ルートの雰囲気の差がかなり激しいですよね…。
剣ルートがあまりにも壮絶過ぎて、何のゲームやってるのかよくわからなくなりました。
荒魂EDでは香夜ちゃんと一緒に、奇魂EDでは一人で地獄行きな左京さん…。
本当に修羅の道過ぎます左京さんの剣ルート…。
でも、凄くハラハラしてインパクトあって怖過ぎだったけど、とても話に引き込まれました…！！

一方で君ルートは、終盤で皆が協力して一緒に戦ってくれる展開が熱いです…！！
王道の少年漫画っぽい展開！凄く凄く良かった…！！
幸魂EDで江戸に残って寺子屋を開くEDも、和魂EDで鷺原家を立て直して香夜ちゃんと結婚するEDも、どちらも素敵でした。

左京さんの告白場面も良かったです！特に幸魂EDでの告白場面。
香夜ちゃんが「左京さん、私……左京さんを……。」と告白しようとしたら、「いけません。そういった言葉は、男から言わせてください。」と言って左京さんから告白。

左京さんさすがわかってらっしゃる…！
個人的には、自然な流れならば男女どちらから告白するのも好きなんですが、できれば男側から告白してほしいなとは思っているので。さすが左京さんです。

和魂EDでは、左京さんのいる山城国まで、今度は本物の花嫁として花嫁行列をするのがまた良いんですよね！偽の花嫁行列から始まった物語が、本物の花嫁行列で終わるというのがね…！
しかも今回の花嫁行列も、護衛のメンバー同じなんですよ！左京さんは故郷で待っているので、左京さん以外の5人ですね。左京さんがこの5人に護衛をお願いしたというのもね…良いですよね…。
いろいろ込み上げてきます…これはずるい…！！

左京さんルートは、どのルートでも攻略キャラ全員が左京さんのために集まって助けようと協力してくれて、個人的に凄く好きな展開でした。
他のルートだと、個別ルート入っちゃうと全員揃って何かするというのなかったですからね。
左京さんルート以外だと、螢の奇魂EDで最後の最後にちょっとあったくらいで。

左京さんルートは、王道で幸せな君ルートも、壮絶な修羅の道な剣ルートも、どちらもかなり好きです。
……剣ルートは怖過ぎて夜に見返せないけどね…！(笑)

鈴懸（すずかけ）

生まれてすぐに高尾山に捨てられ、山に棲む天狗のカルラに拾われて医術と剣術を習った医者侍。
素直で明るくて純粋で、裏表のない優しい子。大天使鈴懸さん。18歳。
山で妖怪と共に育ち、18歳になって初めて人里にやってきたため世間知らずなところも。
プレイした方々が皆彼のことを天使というくらいの天使っぷりです。
九十九丸も可愛い癒し系ですが、九十九丸とはまたちょっと違うタイプかな。どっちも可愛い！

彼の安定安心感は半端ないですね。
ただでさえ癒し系なのに、医者でもあるので心身共に癒してくれます。回復担当。
しかも、カルラの特訓のおかげなのか、かなり強いです。たぶん、6人の中で1位2位争うくらい強い。
あと、山で妖怪と共に育ったためか、心がとても純粋なためか、動物の気持ちがわかったり、木霊などの普通の人には見えないものが見えたりもして、さらに天使っぷりが増しています。
という感じでかなりハイスペックです。チート天使。

鈴懸は人間なので、ずっとこのまま山で妖怪と共に暮らすわけにはいかない。
カルラは、修行を終えた鈴懸に、江戸へ行って夢を見つけるよう促します。
設定的にも能力的にも強さ的にも、とても少年漫画の主人公っぽいです。
というか、鈴懸の剣ルートは本当に王道の少年漫画っぽい熱い展開でした…！！
他のキャラのルートも少年漫画っぽい展開いくつかありましたが、個人的には鈴懸の荒魂EDが一番王道の少年漫画っぽいなと思いました。

偽の花嫁行列の護衛を終えて江戸に帰ってきて香夜ちゃんと再会し、香夜ちゃんにいろいろ教えてもらって裏長屋で暮らすことになるのですが、そこで、医者にかかるお金がない病弱な人々をたくさん見てしまいます。
なんとかして皆が健康で元気でいられるようにしたいと、裏長屋で診療所を開くことに。良い子や…。

でも、それだけでは限界があると感じ、将軍様に直接お話ししてなんとかしてもらおうと、江戸城へ向かいます。
なんとか家光様とお話しすることができて、御前試合の優勝者の願いはなんでも叶えると言われ、鈴懸は御前試合に出場することにします。

御典医である玄庵先生の弟子の神威が、玄庵先生に高く評価されている鈴懸に嫉妬していろいろ起こすので、鈴懸と神威の間の確執や関係性の変化も鈴懸ルートの山場の一つです。
鈴懸としては神威と仲良くなりたいんですけどね。純粋で良い子過ぎるが故に、知らぬ間に敵を作ってしまうタイプなのかもしれません。
この件に関しては鈴懸には何の非もないとは思いますが…。主に神威の心の弱さと玄庵先生の無神経さの問題だと思います。弟子の複雑な心境もちゃんと察してあげて玄庵先生…！

神威が、次の自分の試合相手である九十九丸に毒入りのおにぎりを渡す場面があって、私は「九十九丸に手を出すなー！」と思ったんですが、九十九丸はそれを食べても全然平気でした。
九十九丸が毒無効なのはきっとあれのおかげでしょうね。自ルートでかなり苦しめられていましたが、ここで初めてあの設定に感謝しました(笑)
九十九丸のあれは憎い設定ではありますが、一応、いろいろと助けられてもいるんですよね。

剣ルートでは、最近、妖怪たちが邪気に当てられて暴走しているため、本格的に妖怪討伐を行おうと幕府が動きだします。それを必死に止めようとする鈴懸。
妖怪討伐をやめてもらおうと、御前試合に優勝するために必死になります。
躍起になり過ぎてスランプに陥り、実彰さんに稽古をつけてもらう鈴懸ですが…。

君ルートでは妖怪討伐の話は出なくて、町医者として頑張っていく鈴懸を支える香夜ちゃん。
ある日、香夜ちゃんのお父さんが風邪をひいて寝込んでしまい、使用人として九十九丸を雇うことになります。
そして、香夜ちゃんと九十九丸が親しくしているのを見て嫉妬し、だんだんと香夜ちゃんに対する恋愛感情が芽生えていく、恋愛メインなお話。

螢ルートのように、剣ルートは王道な少年漫画のような熱い展開で、君ルートは少女漫画寄りな感じの展開でした。どちらのルートも凄く好みで良かったです…！！

恋愛過程は君ルートの方が丁寧でしたね。
鈴懸は育ってきた環境のこともあって恥じらいがないし、前章では照れもなかったと思うので、ちゃんと恋愛感情芽生えるのかなあと少し心配してたんですが、君ルートでは恋愛感情が芽生える過程がとても丁寧できゅんとしました。鈴懸ちゃんの恋愛感情の芽生えたまらん…！
九十九丸も良い活躍っぷりで、すぐに香夜ちゃんと鈴懸がお互いに想い合っていることに気付き、お節介になり過ぎない程度に二人を後押ししてくれます。良い人過ぎる…！

個人的には、剣ルート君ルートに分岐する前の、夫婦みたいと言われて鈴懸が照れて赤面する場面が一番きゅんとしました。
絶対わかってないだろうから照れてくれないよなあ、と思っていたら照れてくれたので不意打ちでした…！！ここで選ぶ選択肢によっては照れてくれないこともあるのがもったいない…！

和魂EDは、事情が事情とはいえ、高尾山へ駆け落ちっぽい結末だったので個人的には少しもやっとしましたが、町医者として江戸で一緒に暮らしていく幸魂EDは、一番鈴懸らしい結末だなと思ったので凄く好きです。

奇魂では、途中で妖怪たちが江戸を襲ってきてしまい、鈴懸は人と妖怪の争いを止めようと必死になりますが、妖怪たちを庇って死んでしまいます…。
でも妖怪たちへの説得は、自らの命をもって果たすことができて本懐は遂げたことになるので、これまたBADとは言いきれないんですよね…。

荒魂EDでは、見事御前試合で優勝して一番刀となり、さらに「……僕は、まだ一番じゃありません。僕には、越えなければいけない人がいるんです。」と言って最後に実彰さんとも戦って見事勝利し、天下五剣の一つである数珠丸を授かります。
そして家光様は「余の懐刀となり、余と共に民の為に力を尽くせ。働き次第では、そちの意見に耳を傾けることもしよう。」と約束してくださり、鈴懸は家光様の懐刀となります。

カルラが鈴懸を助けてこれまで育ててきたのは、鈴懸がいずれ数珠丸を授かり、この日の本を救うという予言があったから。
その予言の通りならば、鈴懸ルートのトゥルーED的なのは荒魂EDなのかなと思いました。
御前試合で優勝するだけでも凄いのに、その後、スランプ中に戦って負けてしまった実彰さんにも再度戦いを挑んで勝利するという、少年漫画的な展開がとても熱くて凄く凄く良かったです…！
優勝してもなお、「越えなければならない人がいる」って熱い！！

というわけで、鈴懸ルートは幸魂EDと荒魂EDが同じくらい大好きです。どっちか決められない…！

鈴懸は本当に少年漫画の主人公に向いてると思いました。
鈴懸ルートは、全体を通して鈴懸の成長が大きなテーマだったと思います。剣ルートでも君ルートでも。
ずっと妖怪と共に育ってきた純粋無垢な少年が、人間社会に降り立って、様々な人々と関わって成長していく物語でした。

＜まとめ＞

プレイ前は、ほぼ前情報仕入れていなかったのもあり、特別気になるキャラはいませんでした。
体験版終了時に一番気になったのは柳生三厳さん（サブキャラ）。

・前章終了時点:九十九丸＞鈴懸＞実彰さん＞螢＞縁＞左京さん
・フルコンプ後:九十九丸＞鈴懸＞左京さん＞螢＞実彰さん＞縁

好きなカプ順も上記と同じです。カプ的な意味だと、鈴懸ちゃんと左京さんが結構接戦かも。
九十九丸は、キャラ単体でもカプでも不動の最愛です。本当、こんなにハマるとは思わなかった…。
そして改めて振り返ると、左京さんの急上昇っぷりが凄いな…！

サブキャラも多くてみんな魅力的でした！特に柳生三厳さんと徳川家光様が好きです。
柳生さん良い人過ぎるし、家光様も器の大きい素晴らしい方で、ちょっとお茶目な所も可愛い。
でも個人的には、今後いろいろ展開するとしても攻略キャラは増やさなくていいなと思いました。
サブキャラだからこその魅力というのもあるよね！

シナリオは本当にどのルートも良かったので、各々の好みによる部分が大きい気がします。
贔屓目抜きにしても、九十九丸ルートと左京さんルートは特に力が入っていたとは思います。
一番衝撃的だったのは、左京さんの剣ルートかな。修羅の道過ぎた…でも好き。
全体を通しての衝撃度は九十九丸ルートが一番かなと思います。設定が結構特殊なので、剣ルートでも君ルートでもかなり過酷な展開。そして大団円な結末は幸魂EDしかないという。
左京さんは剣ルートは衝撃的でしたが、君ルートは割と平和で大団円なED2つあったので。

一番好きなEDは九十九丸の荒魂EDです。あれはいろいろずるいですね…！！
タイトル回収あるし、切なさと愛しさのバランスもちょうど良くて、スチルも一番好きだし…！

システム面は、選択肢スキップである「跳躍」が未読部分まで飛ばしてしまうこと、「ご褒美」の物語回想では履歴がない＆スチルの「触れる」機能が使えないこと以外はほぼ不満はなくて良かったです！
できればデフォ名呼び機能も欲しかったですが…！

「スチル欲しいのここじゃないよ…！」とか「なんでここにスチルないの…！？」というのは結構あったりしましたが…特に左京さんルート。
九十九丸と螢はスチルにも比較的恵まれていた気がします。他のキャラはキススチル1枚ずつなのに九十九丸だけキススチル4つもあるのは、メインヒーローの特権かな…？

「ご褒美」に、スチル鑑賞や物語回想だけでなく、音楽鑑賞や人物紹介や辞書、貸本屋（各キャラのイラスト+SS）まであって、本当にご褒美な感じで豪華でした…！！特に「人物紹介」良かったです。

各ルート4つずつEDがあるのも良かったです！ゲームオーバー的なBADエンドはないので、それぞれちゃんと1つのEDとして成立しているのが良いんですよね。
「剣が君の結末にはグッドエンドやバッドエンドという概念はない。それを幸せと取るか悲しみと取るかは貴女次第」というのが凄く好きです。
プレイヤー各々、納得のいかないEDもいくつかあるとは思いますが、そのキャラの物語として考えた時、間違っているEDは一つもないんじゃないかなと思います。
EDを複数用意して、それをどう捉えるかはプレイヤー各々に委ねられているところがいいですね。

というわけで、大満足な作品でした！！凄く凄く面白かったー！！
シナリオがとても丁寧な良作で、キャラクターも皆魅力的でした！
総合的な意味で、とてもよく練られていて丁寧に作られた作品だと思います。
今までプレイしてきた乙女ゲー作品の中で、一番好きな作品になりました。大好き！！

伏線もかなり多くて、意味のないことなんて一つもないくらいな感じでした。
ジャケットイラストや描き下ろしイラスト等にも結構伏線張ってあるので、クリア後に全部見返すと「これってそういうことだったのか！」と新たな発見があって面白いです。