ひとひら CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ ExTime フルコンプ 感想 後編 忍者ブログ

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乙女ゲーム作品中心に雑食。男女カプ大好き。

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CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ ExTime フルコンプ 感想 後編



CZコンプ感想後編です!
後編は央ルート・終夜ルート・鷹斗ルート・サブキャラED感想と総評です。前編はこちら→CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ ExTime フルコンプ 感想 前編

では以下、がっつりネタバレしてますので注意…!!

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英 央(はなぶさ なかば)/ 情報屋 CV.須藤翔

小学生Ver.は小学6年生、大人Ver.は22歳。円の兄。
世界的に有名なレストラン「HANABUSA」の跡取り息子で、料理の腕は小学生の時点で既にプロ級。将来の夢は料理人!勉強は苦手。
小学生の頃は、ムードメーカーで人懐こいけどテンションが高過ぎて空回りすること多数。明るく前向きで博愛主義傾向が強く、正義のヒーローに憧れている。目の前に困っている人がいたら放っておけない優しい子。無茶無謀しがちだけど、自分にできることとできないこともきちんと把握している。
大人になると落ち着いてきて余裕も出てきて、気さくで器用に立ち回る気遣い上手な常識人に。暴力は嫌いだけど交渉は得意で機転も利く。CZの攻略キャラの中で唯一心が壊れない。
壊れた世界では中立団体の実質リーダー。自称「正義のジャーナリスト」。

央はCZの攻略キャラの中で唯一「絶望を知らない」・「失っていない」。
央以外の攻略キャラたちはどこか負のオーラを纏っているんですが、央だけは正のオーラを纏っている感じ。だからこそPS2版でもPSP版でも非攻略キャラだったようです。Vita版で攻略キャラに昇格してもそれは変わらなかったので良かった…!正統派ヒーロータイプです!!
円だけでなくキングまでをも説得、というかカウンセリング?してしまう央の主人公っぷりが凄いドラマCD「Nobody knows the world ~誰も知らない世界~」もよろしくお願いします!
結婚したい男キャラNo.1!!


央ルートは、円との接し方や向き合い方にも触れつつ、主なテーマは「誰かの正義と誰かの願い」、「希望の光」かな。とにかく央らしいまっすぐな感じだったなあと思います。CZの癒しです。
小学生編は、英兄弟の問題を央側から見た物語を展開しつつ、央の明るく優しく正義感の強い面に撫子ちゃんが救われるという感じで、小学生編の時点でもお互いがお互いの光になっているような印象を受けました。
央は、テンションが高過ぎて空回ってしまっているにも関わらず側にいてくれて英兄弟の問題にも一緒になって向き合ってくれる撫子ちゃんに救われ、撫子ちゃんは、誘拐犯に一緒につかまってしまった時に側にいて元気づけてくれて、いつも明るく優しい央に救われる。
お互いにまっすぐで優しいので、二人一緒にいるとより一層まっすぐさと優しさが強調されていると思います。

小学生編で一番印象に残ったのは、撫子ちゃんが央の家に招待された場面。
撫子ちゃんが誘拐の件で央を巻き込んでしまったお詫びに行くと、央はあの誘拐の件以降元気がなかった撫子ちゃんを元気づけるために料理を振る舞ってくれます。央の想いが詰まった美味しい手料理を食べて撫子ちゃんが笑顔になり、自分の手料理を食べて撫子ちゃんが笑顔になったことに央が喜ぶ。これが本当に微笑ましくてこっちまで笑顔になります。

そして、誘拐の件で巻き込んでしまったお詫びに撫子ちゃんがサーカスのチケット2枚を央に渡すと、央は戦隊ショーのチケット3枚を出し、戦隊ショーには僕と円と撫子ちゃんの三人で行って、サーカスには僕と撫子ちゃんの二人で行こう?と頬を染めながら笑顔で言うんですよ!凄いスマートな誘い方…!!小学生の時点で既に口説きのテクニックが…!(笑)満面の笑みだけど頬も染めてて!しかも自然にポロっと「僕だって好きな子と二人で遊びに出かけてみたいしさー」とか言っちゃうんですよ…!その場は撫子ちゃんがドキドキしつつそれ以上の進展はなかったですが、小学生らしい甘酸っぱい感じで可愛かった…!!


そして後半の壊れた世界編。撫子ちゃんが目覚めたのは有心会の拠点。撫子ちゃんはどうにか逃げ出し、元の世界にいた時の夢の中で会った青年と出会い助けを求めます。王道展開!ここから一緒に行動するのかなと思いきや、寅之助に見つかって連れ戻され…。寅之助ルートにも似たような場面がありましたが、このルートでは去り際にこっそりと青年が「……大丈夫。君が困ってるなら、助けるよ。……必ずね」と言ってくれます!

そして宣言通り、青年は撫子ちゃんを有心会から連れ出して隠れ家に入れてくれます。これだけでももうヒーローだと思います!ちょっと話したことがあるくらいの面識の女の子が自分に助けを求めてきた、それだけの理由で有心会に忍び込むという危険を冒してまで助けてくれて…!
そして、撫子ちゃんの話を驚きつつも真剣に聴いてくれて共感もしてくれる。当たり前のことのようでいて、他のルートではなかったことですよこれ…!他の攻略キャラたちはそれぞれの立場や事情もあって、彼のように最初からまっすぐ撫子ちゃんと向き合ってきちんと話を聞いて共感してくれたりはしなかったので…。

そうしてお互いに事情を一通り話した後、青年はまだ名前を教えてくれないんですが、撫子ちゃんが青年お手製のビーフシチューを御馳走になると、一口食べただけで元の世界で央が作ってくれたものと同じ味だと気付き、この青年が壊れた世界での央だと確信する。この展開がとても好きです!料理の味でその人だと気付くっていいなあ。
ちなみに壊れた世界時空だと、央と撫子ちゃんは英家主催のパーティでちょっと話したことがあった程度の面識だったそうです。

お互いに事情も素性も把握して、央は撫子ちゃんが複雑な事情を抱えていると知ったにも関わらず、撫子ちゃんに協力してくれることに。ということで、隠れ家で央と撫子ちゃんの二人きりの同居生活が始まります。まだ個別ルート入ったばっかりでこの展開…!!美味し過ぎる…!!でも急激にがっつり恋愛展開にはならず、ちょっとドッキリ展開もありつつ、少しずつ絆を深めていく様子がとても微笑ましくて終始萌え転がってしまいました!「ただいま」「おかえりなさい」言い合ってるしもう新婚さんか…!!

撫子ちゃんは意地っ張りなところもありますが、央がまっすぐで素直なので撫子ちゃんもかなり素直になっていて凄く可愛いです!!他ルートの撫子ちゃんももちろん可愛いですが、央ルートの撫子ちゃんは、一番普通に恋する女の子してて凄く可愛い!撫子ちゃんらしい意志の強さや行動力はそのままに、素直さや可愛さが増しています!!
全てにおいて萌え悶えたんですが、特に印象的だったのは例の安産お守りの場面かな!央のことで一喜一憂する撫子ちゃん可愛過ぎた…!!
元の世界へ戻る日の朝に、まだ眠っている央の頬に思わず撫子ちゃんがキスした場面も印象に残ってます。可愛いし切なさも相まって凄く好きです。

その同居生活の間に、変装して一緒に政府に潜り込んだり、円を隠れ家に招いて話し合ったり、有心会と交渉したりとどんどん話が展開していって本当に面白かったです!央は中立団体の一員なので、有心会側と政府側のどちらか一方ではなく、両組織をバランスよく見れてキャラも総出演なのでとても見応えがありました!央ルートでは壊れた世界での課題メンバー全員と会えるしちゃんと正体も判明するし、最後に正体判明するのがキングなのも凄く良いです…!!央ルートがメインなのでは?と思ってしまうほど。CZの集大成なシナリオでした!
央が中立なのと、央ルートはVita移植でようやく追加されたルートなので、他ルートで描ききれなかった部分や消化不良気味だった部分まで丁寧に描けたのかなと思います。

理一郎が何をしていたのかというのも明かされ、自分のために頑張ってくれていたと知った撫子ちゃんがきちんとお礼言ってたのも良かった…。理一郎の頑張りが他ルートで報われたのって央ルートだけじゃないかな…!?幼馴染の絆最強過ぎて支障が出るからか、他ルートではほぼ出番ないですからねえ理一郎…。央ルートのこの場面も、理一郎の出番自体は本当にちょこっとでした。でも良かった。
円の心も終夜の心も、各々のルートほどではないかもしれないけど、でも確実に救われたと思うし。寅之助とも和解(?)できたし。
そして央は、キングのやり方には賛同できないけれど、キングが撫子ちゃんを想う気持ちや優しさには理解を示していたのもよかった。
あと、撫子ちゃんを傷つけようとした長を央が怒って説教してくれたり、復活したしぐれさんが長を殴って一括してくれたりしたのもすっきりしました!しぐれさんはともかく長に説教した央凄いな!!

撫子ちゃんは政府に乗り込んで捕まった時に政府側の事情も知り、それを助けに来てくれた央に話しても、央はそれでも撫子ちゃんを助けると、守ると言ってくれる。央はいつも優しくてその時一番言ってほしい言葉をくれるし、何度も助けてくれるので本当に救われました。カウンセリング力高い…!!
そんな央に少しずつ惹かれていく撫子ちゃんですが、央は撫子ちゃんの想いに気付いて一定の距離を保とうとします。スチルコメント聴くとよくわかるんですけど、いずれ元の世界に帰す女の子に恋をしてはいけない、と律していたようなんですね。央としては撫子ちゃんを絶対に元の世界に戻すべきだと考えているから。
それでも撫子ちゃんはどんどん央を好きになっていくし、央も一定の距離感を保ちつつ撫子ちゃんに惹かれていっている。このもどかしさがたまらなく好きです…!

そして物語終盤付近。撫子ちゃんがマーガレットの咲いている花畑ではっきりと央への想いを告げ、央は撫子ちゃんの想いをきちんと受け止めてはくれたものの、自分も好きだとは言わない。本当はこの時にはっきりと撫子ちゃんへの想いを自覚していたのに…!でもここで伝えてしまったら、撫子ちゃんの帰る決心を鈍らせてしまうから。誰かの願いのために自分の本当の気持ちを抑え込んじゃうんですよね…。自分の願いで誰かの願いを壊すようなことはしたくないから。
央は円に「誰かの願いを自分の目的にすり替えて本当の願いから目を背けるな」と言っていましたが、それは央にもいえること。央自身も自覚してますが、こういうところ似てます英兄弟。
そして二人はこの花畑で約束をします。央は、この壊れた世界を良い方向に変えていくことを。撫子ちゃんは、元の世界に戻っても前を向いて希望を失わずに生きていくことを。


しかし帰還エンドでも残留エンドでも、央は撫子ちゃんを元の世界に戻す間際に、最後の一秒に想いを伝えてしまいます。それまでは撫子ちゃんのために絶対言わないようにしていたのに、でもやっぱり伝えずにお別れするなんてできなくて。ここがとても人間らしいエゴというか自分本位な行動で、私はとても良かったと思います。

ここで自分の想いを伝えなかったら理想的なヒーローだったかもしれない。でも央はそうじゃない。ちゃんと人間らしい弱さや葛藤もある。
それに関してはBADエンドの「the world without you.」や全ルートの帰還エンド攻略後に見れる「はじまりの記憶」でより一層強く感じました。
正義のヒーローっぷりが目立つ央ですが、「the world without you.」と「はじまりの記憶」では、央の弱さや葛藤が特に丁寧に描かれていると思います。
央は正義感も博愛主義傾向も強くて優しい正統派ヒーロータイプだけれど、戦闘力ないし万能じゃないし弱さも葛藤も自分本位な思いもある一人の人間で、自分でもちゃんとそれを自覚している。そこがとても人間らしくて共感できるし愛おしく感じました。
絶望を知らないから、絶望に向き合えないから必死で前を向いて強くあろうとしているんですよね。

央は博愛主義傾向強いけど自己犠牲精神が強いわけじゃないし極端に偏った正義感じゃない。自分の正義が誰かにとっての悪になることもちゃんとわかっているし、自分にできることとできないことも把握している。だからこそ央の安定感半端ないんだと思います。

央ルートは、帰還エンド→BAD「the world without you.」→残留エンドの順が個人的にはおすすめ。
「the world without you.」は、撫子ちゃんを元の世界へ戻した後に央が一人で本当の想いを吐露していて、切ないけど大好きです。このエンドの「ずっと……君を、」という台詞の「君を、」の直後に、央がテキストには書かれてない台詞を言っているので、聞き逃さないように注意…!この演出ずるい…!!
あんなことになっても「君のいない世界なんていらない」とは言わず、後悔をして泣きながらも「それでも、僕は生きていかなきゃならない。――君がいない、この世界でと言うのが凄く央らしくて好きです。
BAD「こぼれ落ちた光」は……覚悟ができた時にぜひ…個人的には最大のトラウマです…。キングのこと拒絶しまくったらあんなことに…。


残留エンドは、央も撫子ちゃんも未練ありまくりなんですが、央が最後に自分の想いを告げてキスをして、撫子ちゃんは帰りたくないという思いがより一層強まったまま元の世界へ帰還させられます。残留エンドなのに、です。私は最初見た時「あれ?選択肢間違えた?これ帰還エンド??」って思いました…ほんとびっくりした。

未練ありまくりな撫子ちゃんは、心配してくれた鷹斗に全て打ち明けます。それを聞いた鷹斗が行動開始。その後数か月間の間、撫子ちゃんは壊れた世界の記憶を忘れないようにと、毎日毎日ノートに書き綴る(でも時間が経つと判別不可能な記号になってしまう?)などして必死で記憶を保持しようとします。
本来は、元の世界に帰還したら1ヶ月くらいで壊れた世界での記憶は完全に失ってしまうのに…。なのにその後数か月間記憶を失わずに済んだのは、それだけこのエンドの撫子ちゃんの想いが強かったということでしょう。壊れた世界の央のことが誰よりも大切で大好きで絶対に忘れたくなんかなくて。諦めたくなくて。央の考え方や言葉に強く影響を受けたからというのも大きいと思います。少しずつ記憶が失われていったのは事実なようですが、それでも必死で抗い続けている撫子ちゃん。

そしてついに鷹斗が、撫子ちゃんの意識を壊れた世界の撫子ちゃんの身体に転送させる算段がついたと報告。「本当は、方法は見つからなかったと嘘をつこうかとも思ったんだけど…」と言いながらも、こちらの世界に残った転移装置を解析してくれてきちんと報告もしてくれて…。課題メンバーとの交流で変わった鷹斗だからこその行動だなと思いました。壊れた世界の鷹斗だとこうはならなかったんだろうなあと思うと特別授業が与えた影響ほんと凄い…。

央も一緒に鷹斗の話を聴いていたものの、撫子ちゃんがどこか遠くへ行ってしまうということくらいしか理解してないんですが、それでも、撫子ちゃんが遠くへ行ってしまうと泣いちゃうと思うけど、と言いながらも撫子ちゃんの背中を押すようなことを言ってくれるのでもう央天使か…。最後二人に抱きついてお礼を言う撫子ちゃんの心境に完全にシンクロします…。

そうして撫子ちゃんは壊れた世界に戻り、あの花畑で央と再会。
央は驚きつつも、今度は包み隠さず自分の本当の気持ちを伝えて、この世界で撫子ちゃんと共に生きることを選びます。
別れ際に泣きそうな顔をしていた、私が全てを忘れることを知りながら、最後まで願いを口にしなかった彼を。――今度は、私が迎えに行く番だ。
「選択肢は、いつだってたくさんあるわ。でも、その中からひとつ選ばなきゃならないのなら、私はあなたと生きたい。私が選ぶのは、たったひとつだけ。央だけよ。あなたのいない世界では生きられない。だから……。大好きよ、央。私と、一緒に生きて」
「……正直ね、ずっと後悔してたよ。なにかっこつけてたんだろうって。なんでもっと必死に君を引き止めなかったんだろうって……ほんっと、情けないね」
「……君が大好きだよ。君がいない世界で生きるのは嫌だ。 僕と一緒に、この世界で生きて。ずっと――ずっと、一緒にいてください」

残留エンドなのにこんなに泣いたの央ルートだけです…;;;; ここまでしないとこの世界で共に生きようとしてくれない、本当の気持ちを伝えてくれない壊れた世界の央…。理一郎より手強い。
「君のいない世界なんていらない」でも「君のいない世界では生きられない」でもなく、「君がいない世界で生きるのは嫌だ」と言うのが央らしいですね。

壊れた世界は、有心会による革命が成功して政府関係者は捕えられ、有心会&中立団体が復興活動や治安維持活動中。央の行動によって壊れた世界の人たちもいろいろな意味で救われたと思うし本当に凄い。
元の世界の鷹斗の説明によると、撫子ちゃんの意識が壊れた世界に転送された後でも元の世界の撫子ちゃんの体が目覚めることは可能らしいので、元の世界に残ったキャラたちにも救いがあって、CZにしてはかなり大団円に近いです。

ご都合主義過ぎない…!?と思わなくもないですが、本当にその後元の世界の撫子ちゃんが目覚めたのかわからないし、目が覚めたとしても何も覚えていない可能性は高いらしいし、こういう結末があってもいいんじゃないかなと私は思いました。帰還エンドでも残留エンドでも、別れ際にようやく想いを伝えながらも、自らの手で撫子ちゃんを元の世界へ戻したのが凄く央らしくて印象的。
一度離れ離れになってから再会し結ばれるという展開自体も私は大好きなのでツボ突かれまくりました…!!CZで一番好きなエンドです!!

残留エンドなのに、このエンドのタイトルが「還るべき場所」なのも、央ルートならではですね。帰還エンドっぽいタイトルだけど残留エンドです。
ちなみに、央がリーダーとなった中立団体の名前は、央が考えた【トワイライト(Twilight)】に。「薄明り」という意味で、央に凄く合っていて好きです。


帰還エンドでは帰還する直前の会話が残留エンドより長めで、央は言動から撫子ちゃんへの想いが溢れ出ていて、撫子ちゃんもはっきりと央の想いに気付きます。そしてお互いがお互いのことを自分にとっての光だと伝え合ってキスをして。それでも撫子ちゃんは、元の世界のこと、元の世界の央への気持ちもあって、元の世界に帰ることを決意。でも戻されるギリギリ直前に決心が鈍ったりもして切ない…。

帰還エンドだと、撫子ちゃんは実際に帰還してみるまで記憶が失われていくことに気付かないんですが、帰還してそのことに気付いても、残留エンドのように必死にはならないんですよね…。残留エンドでの気持ちと帰還エンドでの気持ちの違いがとてもわかりやすかったです。
央は知っていたはずなのに、別れ際に「忘れないで」と言うのがまた切ない…。一方で弟の円は自ルートの帰還エンドで「ぼくのこと忘れてください」って言ってるんですよね。兄弟で正反対のこと言っててもう…!似てる部分もあるし対比させてる描写もあるしで、いろいろ比べてみると深いですこの兄弟。

そして元の世界の10年後。央は料理人として修行中でフランスに。撫子ちゃんは医大の4年生なので遠距離恋愛中。でもサプライズで央が日本に戻って来てて突然後ろから抱きついてくるっていうさすが央…!!お互い素直に想いを伝え合っていて大好きっぷりが凄く伝わってきました可愛い!!

後日談では、撫子ちゃんが央に呼び捨てで呼んでほしいとお願いしているのが凄く可愛かったし、10年間ずっと「撫子ちゃん」呼びしてたから恥ずかしくてなかなか呼び捨てできない央も可愛かった!でもその後突然不意打ちで「撫子」って呼ぶから央ずるい…!!デフォルト名呼び機能を最大限に生かす展開でした!!
これからも基本的には撫子ちゃん呼びでときどき撫子呼びな感じなのかなーそうだと嬉しい。完全に撫子呼びに移行しちゃうのはちょっと寂しいので。
結婚式で初めて「愛してる」と言うのも良かった。それまでは「好き」「大好き」だったので、関係性の変化がわかりやすいですね。

ちなみに告白は央からで高校1年生の時。限定版冊子のSSと合わせてお楽しみください!告白の台詞自体はナンパっぽい感じだったけど(笑)、でも赤面してて高校生らしくて可愛かった…!!高校は別になっちゃったけど電車は同じって良いですね!甘酸っぱい!

そして央は大人になったら結構熱烈というか、結構アダルトですね…!?本編では終盤まで自分の想いを抑え込んでいたので健全過ぎなくらいだったけど後日談は…!!お互いに想いを伝え合って恋人になったら、本気で嫌がることはしないけど、我慢しなくなります央。いつも紳士的で優しいけどちゃんと男の人でした。でもキャラ崩壊してるとは思わなかったので、その辺本当に絶妙で凄く良かったです。央は本来自分の気持ちに正直なので、我慢しなくなったらこうなるのも納得です。恋愛本気モードの央凄い…!!
それに対して撫子ちゃんは恥ずかしがって嫌がるどころか、むしろそれに乗っかることが多いので、お互いに大好きなのが凄く伝わってきます!!


最初は、央だけは撫子ちゃんがいなくても大丈夫そうというか、むしろ撫子ちゃんが央に救われているという印象が強かったんですが、残留エンドでは、央が抑え込んでいた本当の想いを撫子ちゃんが救い上げていたので、撫子ちゃんが央のヒーローになっていましたね!かっこいい…!!帰還エンドでの「勇気をもらった。君の強さが、僕にとっては光だったんだ」という言葉も印象的です。
このカプは、お互いに想いを伝え合って恋人になってしまってからだと、絶対永別できなくなる気がします。意外と依存度(?) 高い…?
他カプに比べたらカウンセリングというほどではないかもしれないけれど、お互いの弱さがお互いの強さによって救われ、前を向いて進んでいける。央撫はそんなカプだと思います。お互いがお互いにとっての光。

央ルートは、乙女ゲームとしても一つの物語としても非常に良くまとまっていて、見たいものほぼ全部見れたシナリオで大満足です!!



時田 終夜(ときた しゅうや)/ 哲学者 CV.石田彰

小学生Ver.は小学5年生…と偽っている14歳、大人Ver.は24歳。 売れっ子のキッズモデル。
攻略キャラの中で唯一小学生Ver.と壊れた世界での大人Ver.の中身が一致している。中身の終夜は元々壊れた世界側の人間。
政府の計画を知り、政府に対抗するため自分の意識を赤ん坊の頃に転送してそのまま14年間過ごし撫子の周囲を監視…のはずが、転送が不完全だったため重要な任務中ということしか覚えていなかった。小学生編中盤辺りで記憶がほぼ完全に戻る。
頭脳明晰で黙っていれば美形だけれど、口を開けば殿様喋りで斜め上な発言しかしない天然系。自己犠牲を厭わない、慈愛に満ちたとても優しい人。央には「殿」、円には「殿さん」と呼ばれている。
壊れた世界では反政府組織【有心会】の幹部で寅之助の部下。情報や科学技術の分析担当。でも手先が不器用過ぎて機械を扱うのは苦手。

終夜と寅之助のボケとツッコミコンビな親友っぷりが凄く良いです!!


終夜は、攻略キャラの中で唯一小学生Ver.と壊れた世界での大人Ver.の中身が一致しているのを最大限に生かしたシナリオ展開でした。というわけで終夜ルートのテーマは「記憶」「贖罪」かな。
終夜は自己犠牲的な慈愛に満ちた優しい人ですが、仲間たちのためにできることなら、たとえ誰かを利用することになったとしても割り切って行動することができる意志の強さも持っている。
壊れた世界の終夜が赤ん坊の頃の自分に意識を転送したため、その影響でこの世界の母親を精神的に病ませてしまったり、組織のために撫子ちゃんを利用することを覚悟したり。でもやっぱり終夜は優しいから、どちらに対しても罪悪感を抱いています。有心会のために何を犠牲にしても力を尽くすと決めているものの、ターゲットである撫子ちゃんに優しくされ、罪悪感を抱きながらも次第に惹かれていく。

特に小学生編で壊れた世界での記憶をほぼ完全に取り戻した後は、近いうちに壊れた世界で撫子ちゃんを人質として利用することになるということに酷く罪悪感を抱いて凄く辛そうでした…。ある程度の事情は説明したものの、この時点では話せないこともたくさんある。その罪悪感と、そんな自分に優しくしてくれる撫子ちゃんへの想いが募っていく。そんな終夜を見て、終夜の方が辛そうだと心配する撫子ちゃん。お互いがお互いの優しさに惹かれていく過程が丁寧でした。
「そなたは優しいな。残酷なまでの優しさだ」
この台詞に、終夜の撫子ちゃんに対する気持ちがよく表れていると思います。


そして壊れた世界編。
撫子ちゃんとしては、こんな風に人質として利用されるとは思っていなかったのでショックを受けますが、終夜は壊れた世界に来て突然冷たい態度になったりはせず、むしろ今までと変わらない態度で接してくれる。終夜が慈愛に満ち溢れているから、誰に対しても差別せずに優しいから、みんな終夜に優しい。楓はもちろん、寅之助も終夜には結構甘いよね。長は安定の長で怖いけど、長も終夜には酷いことできないらしいので終夜凄い。

そんな中、壊れた世界の終夜を意識だけ24年前の身体に転送した際の転送技術が不完全だった影響が出てきて、このままだと近いうちに記憶を全て失ってしまう。さらに脳に損傷がある可能性も出てきて、それが体に影響を及ぼして死に至る可能性も…。
少しずつ記憶が失われていくという恐怖の中、終夜が最後に願ったのは、撫子ちゃんを元の世界に戻してあげたいということ。いきなり別の世界に連れて来られて、本当の意味で自分を知っている人間が終夜しかいないという撫子ちゃんの気持ちをより理解できたから。それから、自分は撫子を人質として利用しているのに撫子はあんなに優しくしてくれたから恩返しをしたい、と。もちろん、撫子ちゃんへの想いの強さが大きな理由です。

大切な仲間である有心会の人たちと敵対することになったとしても、終夜自身の身体がどんどん弱ってきているとしても、それでも終夜は撫子ちゃんを元の世界に戻すことを最優先にしようとする。終夜は、あまりにも自分自身のことをないがしろにし過ぎていて、見ていて辛かったです…。

終夜は、大切なもののために他のものを切り捨てる強さもありますが、でも根本的に優し過ぎるんですよね。そして、終夜は記憶を失い始めて精神的に弱くなってきているというのもあり…。Vita版では央ルートの後に終夜ルートやったので、その二人の違いを強く感じました。
央は博愛主義的だけれどちゃんと普通の人並みの自分本位な思いもあって、それを自覚した上で誰かの願いを大切にする人。一方で終夜は慈愛に満ちていて自己犠牲的です。たぶん、無自覚に自己犠牲精神が強い。央はちゃんと自分本位な思いも混じっていてそこまで無理なく安定感あるんですけど、終夜は自分自身をないがしろにし過ぎているため、歪さとか不安定さを感じました。もっと自分のことも大切にしよう…!!
央の人間らしい優しさや正義感も、終夜の自己犠牲的な優しさや正義感も、どっちもそれぞれ好きなんですけどね。でも終夜の自己犠牲精神の強さは心配になります…。なかなか自分自身の幸せについて考えてくれないというか…。
公式ブログでも、「根幹にある自己犠牲や他者への慈愛ゆえに、 ものすごーーーく幸せにするのが大変なキャラ」とか「なかなか幸せを享受してくれない」と言われています。幸せになって…!!(泣)

そんな感じでなかなか幸せを享受してくれない終夜を、撫子ちゃんが必死で繋ぎとめて引き上げるんですよね。「どんなに残酷な未来をあなたに与えられたとしても、あなたに優しくされた記憶は消えない」という撫子ちゃんの言葉が印象的です。
そして撫子ちゃんだけじゃなくて、終夜のお母さんや楓、有心会のお医者さん、なんやかんやで見逃してくれた寅之助。終夜を愛しているたくさんの人達に支えられました。これも終夜の分け隔てない優しさと愛によるものなんですよね。終夜が優しいから、周りの人達も終夜のことが大好きで優しい。


そして終盤、脳の障害で体の状態がどんどん悪化していっている終夜。撫子ちゃんを元の世界に戻し、終夜も再び2010年の健康な体に意識を転送させるか。それとも、死の危険もあるそんなリスクの高いことはさせられないからと二人共壊れた世界に留まるか。

残留エンドでは、終夜が死ぬ可能性があるならそんな危険なことはさせられないと、終夜も撫子ちゃんも壊れた世界に留まることに。本編までだと、終夜は基本眠ったままの時間の方が長くて稀に目を覚ますことがあるという状態で切ないんですが、ボーナストラックの後日談→Vita版のステラワース特典小冊子まで読むとなんとかハッピーエンドかな…。個人的には、本編まででも切なさの中に希望も感じられて好きでしたが、でもやっぱり不安もあったのでその後も描かれていて安心しました良かった…。


帰還エンドでは、終夜が死んでしまう可能性もあるけれどそれでも助かる可能性にかけて、終夜も撫子ちゃんも元の世界に、2010年の自分の体に意識を転送。転送は無事成功!
そしてここからの展開が物凄く好きです!!課題メンバーみんなで終夜を探し出し、キングがやってきて撫子ちゃんを連れて行こうとするのを課題メンバー全員で阻止する。特別課題をきっかけに一ヶ月間共に過ごしてきた仲間たちの絆の強さや頼もしさを感じられてとても良かったです。特別課題を経験していない壊れた世界の大人組のほとんどが何か拗らせてる感じなので(笑)、課題を経験した元の世界のみんなの頼もしさ凄いです。

そしてその後の図書室での終夜と撫子ちゃんの愛の誓いも凄く印象的でした。
元の世界に戻ってきて体は子供に戻ったけれど、心まで子供には戻れない。撫子ちゃんは本来、元の世界に戻ってきたら壊れた世界での記憶は忘れてしまうはずですが、終夜ルートでは、壊れた世界での記憶を保持している終夜が語り聞かせていくし、撫子ちゃん自身の忘れたくないという気持ちも強いおかげか、その先もずっと忘れることなく覚えていられる。


元の世界でも壊れた世界でも中身が完全に同じなのは終夜だけなので、他のルートと違って「同じだけど違う存在」に悩む必要がないですね。
終夜ルートではいろんな種類の花が出てきたのも印象的でした。最初は小学生編でお母さんのお見舞いに持って行った白いコスモス、お見舞いに付き合ってくれたお礼に撫子ちゃんにあげたピンクのコスモス。壊れた世界では撫子ちゃんにスミレの押し花を渡し、BADエンドでは白い撫子の花を。
終夜の自己犠牲的な優しさに切なく辛くなりつつも、終夜の溢れる慈愛のおかげで優しさに満ち溢れたルートでした。



海棠 鷹斗(かいどう たかと)/ 神賀 旭 / キング CV.浪川大輔

小学生Ver.は小学6年生、大人Ver.は22歳。ラスボスメインヒーロー。
物語冒頭で撫子&理一郎のクラスにやってきた転校生で、世界的に有名な製薬会社・海棠グループの一人息子。元々は特別課題のメンバーではなかったが自主的に参加。
明るく社交的で好奇心旺盛な優等生。研究が趣味でずば抜けた頭脳を持つ天才少年。5歳の時のIQは280だったらしい。でも料理は壊滅的に苦手。
普通の子供らしくないことが悩みだったが撫子と出会って大きく影響を受け、お互いに憧れの対象に。
「神賀 旭」は撫子達のクラス担任兼特別課題を始めた先生だがもちろん偽名。その正体は、戸籍までいじって撫子達が通う秋霖学園の先生になった壊れた世界の鷹斗。事故に遭って目を覚まさなくなった撫子を目覚めさせるために研究に没頭し、結果量子爆発を起こして世界を壊してしまう。その後政府【CLOCK ZERO】を設立し世界を管理しようとする。
2010年の撫子の意識を2020年の撫子の体に転送させた張本人。
役職は「キング」。政府【CLOCK ZERO】のトップ。ちなみに撫子は「クイーン」。

愛が重過ぎる重度の撫子厨なラスボスメインヒーローです!!「君のいない世界なんていらない」といえばこの人!!


鷹斗ルートのテーマは、「羨望と執着」ですね。
鷹斗は物凄く優秀で社交的な優等生なので悩みとかなさそうに思えますが、その優秀過ぎることや子供らしくないことが悩み。頭脳明晰過ぎるし家も海棠グループという大企業なので、やろうと思えばほとんどのことができてしまう。だから興味を持ったことを趣味でいろいろ研究していても、将来の夢も目標もない。そして感情が希薄で普通の子供らしくないという自覚もある。天才故にどこか欠落しているというか…。

そんな鷹斗を変えてくれたのが撫子ちゃんでした。他の子と違って、ただまっすぐに自分と向き合ってくれる。他の子より大人びているようでいて、でも早く大人になりたいと背伸びしている子供らしさを持った撫子ちゃん。彼女の年相応な子供らしさ、人間らしさに惹かれていく。
一方で撫子ちゃんも、頭が良くて大人びている鷹斗のことを素直にまっすぐ尊敬し憧れる。お互いが、お互いにないものを持っている相手に憧れるんですね。この二人の関係性はどのルートでも共通。撫子ちゃんが鷹斗に対して恋愛感情を抱くか抱かないかの違いしかないと思います。

小学生編で一番印象的だったのは、鷹斗が将来の夢についての作文を書けなくて放課後残ってた場面。研究をしてるのは好きだし楽しいけれど、やればできてしまうから、目標にできない。なんでもできるって言われるけど、俺は結局何も持ってないんだと思う、とどこか諦めたように笑う鷹斗に撫子ちゃんが言った
「好きなことをやってたっていいと思う。鷹斗が何も持ってないなんて、そんなことあるはずない。夢なんて、目標なんて、なくてもいいじゃない。鷹斗のやってることに意味がないわけないわ」
という言葉に鷹斗はとても救われました。その言葉自体にというより、他の誰でもない撫子ちゃんがそう言ってくれたから。


そして後半の壊れた世界編。政府の中に用意されていた部屋で目覚めた撫子ちゃん。自分をこの世界に連れてきた、そしてこの世界の支配者であるキングと対面すると、そこにいたのは神賀先生…いえ、先生として2010年の時空に干渉していた2020年の鷹斗でした。
鷹斗にとって撫子ちゃんは、自分を人間らしくしてくれた大切でかけがえのない女の子。鷹斗が撫子ちゃんに執着しているのは、鷹斗に感情というものを抱かせる存在が撫子ちゃんだけだから。
そんな鷹斗が、事故で目覚めなくなってしまった撫子ちゃんを目の前にしてどうなるか。撫子ちゃんのおかげで普通の人間らしい感情を抱けるようになっていった鷹斗の心は、これをきっかけに大きく壊れてしまいました…。
現在の医療では目覚めないという撫子ちゃんを勝手に黙って病院から連れ出し、海棠グループの研究室で撫子ちゃんを目覚めさせるための研究に没頭。医療による方法に限界を感じた鷹斗は、時空転移の研究に方向転換。結果量子爆発を起こして世界を壊してしまいますが、その爆発のおかげで時空転移技術が完成。そして現在の状況に至るわけです。

鷹斗が壊れてしまった世界を管理しているのは、唐突で理不尽な死を限りなくゼロにするため。もう二度と撫子ちゃんを失わないために。だから識別コードを使って国民を必要以上に厳重に管理している。衣食住はきちんと与えられているし命を大切にされているけれど、その人が今どこで何をしているのかまで管理され、逆らった者には矯正措置が行われる、不自由な世界。

撫子ちゃんはもちろんそんなの納得できません。一応鷹斗が一通り撫子ちゃんに説明してくれて、「君のことが好きなんだ」と告白もされましたが、受け入れられるわけがない。
撫子ちゃんはまずこの世界の現状をきちんと把握することから始めようとします。把握した上で、鷹斗を説得してこの世界の現状を変えたい。そして元の世界に帰してもらう。そう決意して積極的に行動する撫子ちゃんがとてもしっかりしてます。

鷹斗は、撫子ちゃんに出会うまでは人間のことを「人間という生物」としてしか見ることができなかった。人に対して憐れみしか感じることができなくて、怒りという感情がどんなものなのかも知らない、感情が希薄な人間だったと言います。
それがよくわかるのが、鷹斗が撫子ちゃんの事故の実行犯(首謀者は別)を捕まえたと言う場面。撫子ちゃんが鷹斗に対して一番恐れを抱いたのはこの場面なんじゃないかなと。
鷹斗は、撫子ちゃんを事故に遭わせた犯人を目の前にしても犯人を憐れむことしか出来ず、その犯人のことをかわいそうだとしか思えなかった。最愛の人にあんなことをした犯人を憎むことが出来なかった、感情が少しも動かなかった自分に自己嫌悪する鷹斗。
普通人間は大切な人に危害を加えられたりしたら憎しみを覚えるものですからね…。でも鷹斗はそうじゃなかったということが怖い。
「俺は、怖いんだ。君がいないと、俺は人間になれない。いつまで経っても、人間らしくなれない。人をさげすむことしかできないんだ。人として生きていると思えない」
この鷹斗の言葉が切実過ぎて辛いです…。

そんな鷹斗が、撫子ちゃんが側にいてくれることで人間らしい感情を取り戻していきます。ちゃんと、人として生きていると思える。
一方で撫子ちゃんは鷹斗に同情していって、この人を放っておけないと思うように。鷹斗に人の心を持たせられるのが私だけなら、私になら鷹斗を変えることができるのではないか、と。
そうして鷹斗は今ここにいる、2010年からきた撫子ちゃんときちんと向き合い、過去の撫子ちゃんへの執着心が、今ここにいる撫子ちゃんへの恋心へと変化。
撫子ちゃんも鷹斗に対する同情心が次第に恋心に変わっていく。傲慢でわがままで自分勝手で純粋で一途な寂しがり屋であるこの世界の鷹斗に、どうしようもなく惹かれてしまった。

そんな中、鷹斗が次第に人間らしい感情を取り戻していくことを阻止しようとする人物が政府幹部の中にいて、彼が有心会に一時的に手を貸して政府への襲撃を補助。その人物とは、鷹斗の側でずっと彼に協力してきた、政府の研究部トップのレイン。撫子ちゃんの事故の首謀者でもある。

この作品の中で一番心が壊れてしまったキャラはレインかな…。普段は飄々としてるけど、やってることとか考えてることとか一番歪んでます。でもレインも一応被害者なんですよね…。そこからの思考回路や行動は理解しきれないけども…でも憎みきれないというか。

レインは、溺愛していた妹であるレイチェルを交通事故で失ってしまい、それがきっかけとなって心が壊れてしまった。必死で人体蘇生法を研究し続け、でも限界も感じていて。そんな時に鷹斗に出会い、彼にならできると確信する。
人体蘇生の研究に否定的だった鷹斗をやる気にさせるためには、自分と同じように大切な人が理不尽で唐突な事故に遭えばいいのではないかと考え計画を実行。結果、2011年の撫子ちゃんが事故に遭ったわけです。

レインが有心会を利用したのは、政府が危機にさらされることによって、再び突然撫子ちゃんが危険な目に遭うかもしれないという危機感を鷹斗に抱いてほしかったから。そうすれば彼は再び人間らしさを失って傲慢になり、妹を奪ったこの理不尽でくだらない世界を脅かしてくれる。

鷹斗もレインも、大切な人の死によって憎しみを向けた相手が犯人ではなくて、この理不尽な世界なんですよね…。
でも鷹斗は世界を壊したかったわけではなく、ただ撫子ちゃんを目覚めさせたかった。これからも撫子ちゃんと共に生きていきたかっただけ。
一方でレインの願いは人体蘇生法の完成と世界が不幸であることの両方、なのかな。妹が死んだのに世界は変わらず正常なままなんて認められないから、不幸で歪な世界にしたいということ…?私は未だにレインのことをなんとなくしか掴みきれてないので、何度も読み返したりしてじっくり考えたいです。


残留エンドと帰還エンドでは、レインの言葉を受け入れることなく、鷹斗が人間らしく前に向かって進んでいて安心しました。撫子ちゃんが自分を庇って重傷を負ったのを、仲間を信じて撫子ちゃんの治療を任せる。成長したね鷹斗…。

残留エンドでは、有心会の襲撃によって政府が機能停止していく中、二人で逃走。逃走直前に元の世界の時の停滞も解除。その後政府は完全に解体し、キングを探している有心会から逃げ隠れしながら共に生活していきます。


帰還エンドでは、有心会による政府襲撃の中、鷹斗はなんとか元の世界の時の停滞を解除して撫子ちゃんを元の世界に戻します。

そして元の世界に戻ってきてから11年後。鷹斗は秋霖学園の教師になっていました。壊れた世界の鷹斗からの手紙に従って、撫子ちゃんの事故を阻止して研究もやめたとのこと。

鷹斗は中学2年生の時に告白。早い…!!理一郎は高校3年生の時なのに…(笑)
でも、未来への物語EDのその後設定のドラマCD等での、いつまで経っても鷹斗VS理一郎膠着状態なまま他のみんながそれを見守りつつ、二人がいつまでもそんなだと僕らもそろそろ参戦しちゃおうかな~という感じが一番しっくりきます(笑)

帰還エンドでは、元の世界の2021年での鷹斗&撫子ちゃんの様子が描かれた後にほんの少しだけ壊れた世界の様子が映り、撫子ちゃん帰還後に壊れた世界の撫子ちゃんが目覚めたところで終わります。あの後奇跡的に目覚めたってことだと思いますが、そこで終わっているのが想像力掻き立てられて余韻もあって良かったです。他ルートの帰還エンド後の壊れた世界時空の撫子ちゃんも目覚めてるといいな…。


鷹斗は、特別課題を受けてみんなと交流したか否かでその後が特に大きく変わってしまうキャラクターだなと強く感じました。特に声優さんの演技。キングの声色怖い。少なくとも声色に関しては他のキャラはそこまで大きく違わないような…?
壊れた世界の鷹斗は、壊れた世界の支配者としてこの世界をきっちり管理している一方で、撫子ちゃんに向ける愛情や執着心は酷く子供っぽいという歪さも印象的です。優しくて残酷な王様。

元の世界の鷹斗も撫子厨ではありますが(笑)、キングとは結構違いますね。それは撫子ちゃんが事故に遭わなかったからというだけではなくて、きっと課題メンバーと交流して精神的に大きく成長できたからというのも大きいと思います。
もし元の世界で撫子ちゃんが事故で目覚めなくなったとしても、元の世界の課題メンバーと交流を深めた鷹斗ならキングのようにはならないんじゃないかな。そしてその特別課題はキングによるものだというのがまた複雑というか不思議な縁というか。

鷹斗ルートでは青い薔薇と白いガーベラが出てきました。Vitaの通常版ジャケとドラマCD第三弾ジャケ絵のもガーベラ。
ちなみにコンプスチルでの各々の花は、
鷹斗→青薔薇、理一郎→シロツメクサ、円→鈴蘭、寅之助→曼珠沙華、終夜→竜胆、央→雛菊
だそうです。(→2015年6月25日更新のCZワリコミブログ参照)


<サブキャラED>

PSP移植でルーク(レイン)ED、Vita移植ではレインEDの続きと楓EDも追加。あくまでも他ルートからの派生EDだし、レインEDも楓EDもそれぞれ撫子ちゃんへの片想い描写止まりで短めではありますが、綺麗にまとまっていました。

ただ、楓EDは央ルートからの派生(といっても壊れた世界編序盤からの派生なので壊れた世界で央と出会う前)というのは個人的に少しもやっとしたかな…。内容とボリュームはちょうど良かったです。

レインEDが鷹斗ルートからの派生なのは凄く納得だし丁寧で良かったんですが、明確に撫子ちゃんへの恋心を抱くところまではいかなくてもよかったかなあとも思いました。レインは、鷹斗と撫子ちゃんに全て話して二人が受け止めてくれるだけで充分救われたんじゃないかなと思ったのと、レインEDは鷹斗ルート終盤からの派生だったので…。でも公式ブログでの島Dのルーク(レイン)語りを読んでなるほどとも思いました。撫子ちゃんに恋愛感情を抱き、それを自覚し認めるというのはレインにとって大きな変化なんだなと。
そして、「人間なんだから、一緒に過ごして優しさや温かさをもらったら、その人のことが大切になるのよ」という撫子ちゃんの言葉がとても好きです。

元の世界の2020年にみんなでタイムカプセルを掘り返すお話な未来への物語エンドも大好きです!!このエンドで締めるのおすすめ!


<まとめ>

・好きなシナリオ順: 央ルート>鷹斗ルート>円ルート≧理一郎ルート終夜ルート寅之助ルート
・好きなカプ順: 央撫>理撫>>寅撫>円撫>鷹撫≧終撫
・好きなキャラ順: 央>>理一郎>寅之助>終夜=円=鷹斗
好きなエンド順:央ルート残留>>央ルート帰還>終夜ルート帰還>鷹斗ルート帰還>理一郎ルート帰還>円ルート残留>円ルート帰還>理一郎ルート残留>>寅之助ルート残留>鷹斗ルート残留>終夜ルート残留>寅之助ルート帰還

全部好きですが、順番付けるとしたら個人的にはこんな感じかな。
PSP版プレイ時はカプだと理撫最愛で今でも大好きで特別ですが、Vita版で一番萌えたのは央撫です。あんなに終始萌え悶えてたのは今までやってきた乙女ゲーの中でもトップクラスというか本当に一番なんじゃないかな!大好きです!!
キャラ単体だと一番好きなのはPSP版の時でも央だったのに当時は非攻略キャラだったので、Vita版で攻略キャラに昇格してくれて本当に嬉しい!

Vita版で央が一気に人気になったようで、それも納得なキャラとシナリオでした!撫子ちゃんとのやり取りも可愛過ぎる。非攻略キャラだった頃はここまで深く掘り下げられていなかったし、恋愛本気モードの央も見れなかったですしね。やっぱり、非攻略キャラと攻略キャラの差は大きいなあと実感しました。央ルートのシナリオの完成度も本当に凄かったですし。
そして本当にみんな大好きで愛おしいです!!みんな幸せになって…!!

結末は、央ルートの残留エンドがダントツで好きです!!納得できない人も一定数いそうだけど私は完全に心持ってかれました…!!あれはずるい…!!

CZはBADエンドもいくつかありますが、正規EDは【未来(壊れた世界)残留エンド】と【現代帰還エンド】の2種類ずつ。
どちらか選ぶということは、もう一方を選ばないということ。この作品ではそれを強く感じました。完全な大団円エンドはないですからね。
攻略キャラとの恋愛に焦点を絞ると終夜ルートの帰還エンド、恋愛だけでなく世界全体のことも考えると央ルートの残留エンドが一番大団円に近いかなとは思いますが、それでも完全な大団円とはいえません。

本来過ごすはずだった12歳~22歳の10年間を捨てて壊れた世界で愛し合う彼と共に生きるか、壊れた世界での記憶を失い元の世界の彼と共に本来の時空で生きるか(※例外なエンドもいくつかあります)。
どちらの方が良いとはっきり言えないもどかしさもこの作品の魅力だと思います。悶々と考えこんじゃって余韻も凄いです。
PSP版プレイ時は、そういう要素を自分の中で上手く整理できなくて少しもやっとした覚えもあるんですが、今回は上手いこと昇華できました。一度PSP版をフルコンプしていたからかな…?
というわけで、もやっと感じて上手く昇華できなかった人もぜひ再プレイしてみてください…!!


この作品はPS2→PSP→Vita、と移植の度にいろいろ追加されてきましたが、今回のVita移植での追加はボリュームも内容もさらに凄いです!結婚式まで描いてしまったのでゲームに関してはVita移植が最後なのかなあと思えて少し寂しいですが、でも集大成な作品になっていて本当に素晴らしいです…!!小学生の頃から見守ってきた子たちが大人になってついに結婚!おめでとう!!という思いも強いです(笑)

制作陣の愛を物凄く感じる素晴らしい作品をありがとうございました!!いつまでも大好きです!!
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